センターだからこそ得られる海外赴任経験と成長の機会 センターだからこそ得られる海外赴任経験と成長の機会 髙村 篤 Atsushi Takamura 分析員 / 2010年中途入社 日本によるIAEA保障措置支援計画の下で念願のIAEAに赴任 2010年4月に中途採用で入社し、東海保障措置センター検査課に配属され、保障措置検査機器の較正調整業務、その後保障措置検査員として保障措置検査業務に従事しました。2015年4月からは、東海保障措置センター分析課に異動となり、保障措置検査で収去した試料(核物質)の分析業務(主にウラン量と同位体組成の測定)に従事しました。2021年4月には、六ヶ所保障措置センター分析課に異動となり、青森県六ヶ所村にある再処理工場内の分析所(IAEAと共同利用する「オンサイトラボ」)で分析業務に従事しました。 数年前から社内の面談等でオーストリアにあるIAEAの分析所での支援計画への参画の話があり、他分析所での分析業務や国際機関での勤務に興味があったことから希望を出したところ、対象者として選ばれ、2023年4月よりIAEAの分析所に赴任し、現在に至ります。 センターで培った知識や経験を活かしてIAEAに貢献 IAEAの分析所では、査察官が各国の原子力施設で収去した試料の分析業務(核物質量や同位体組成の測定)に従事しています。IAEAの分析所では分析手法毎にチームが編成されており、私が関わったのは以下の3チームです。 ・質量分析チーム:質量分析計を用いてウランやプルトニウムの同位体組成の分析を行っています。主要な作業者は自分を含め3名です。 ・放射線分析チーム:核物質から放出される放射線(γ線、α線及びX線)を測定して元素の量並びに核種の量及び組成の分析を行っています。主要な作業者は自分を含め3名です。 ・ウラン分析チーム:化学的処理(ウラン粉末の溶解や希釈等)を行い分析方法に合わせた試料を調製して他チームに提供したり、自分たちで分析する作業を行っています。主要な作業者は自分を含め4名です。 これらのチームには、オーストリア、ニュージランド、フランス、スペインの出身者がおり、国際色豊かなメンバーです。 IAEAの分析所では、センターの分析所と同様の分析手法や分析装置が使用されているため、センターでの分析経験(技術や知識)をそのまま活かすことができ、即戦力として業務に貢献できたと思います。また、IAEAの分析所の作業はチーム単位で分かれていますが、実際の作業は単独での作業になることが多く、自分で判断して作業を進められるところは非常にやりやすいと感じています。 これから海外赴任に挑戦したい人へアドバイス 人とのコミュニケーションをとるのが好きな方は、海外での生活に向いていると感じます。IAEAの分析所では、分析員は出社してすぐに分析業務を開始するのではなく、休憩所のような場所に集まってコーヒーを飲み談笑しながら当日の作業予定の確認等を行います。また、クリスマス、新年、歓送迎等いろいろなタイミングでパーティが開催されるので、多くの人々と交流する機会があります。私は出来ませんでしたが、IAEAの分析所のパーティでは自家製の料理やお菓子を持ち込む人もおり、日本の有名な料理などを振舞えば喜ばれると思います。 また、語学スキル(主に英語)は高いほど海外に赴任する上で助かります。同僚とのコミュニケーション(雑談や技術的な議論も含めて)が取りやすいですし、私生活でも不便さを感じることは少ないと思いますので(オーストリアの公用語はドイツ語ですが、市内でも大体英語が通じる)、語学スキルの習得を進めておくと良いと思います。 センターとIAEAとの懸け橋に 今後の展望としては、IAEAの分析所で経験した分析技術や知識をセンター職員に共有していくとともに、IAEAの分析所で得られた人脈を活かしてセンターとIAEA分析員との交流を深め、センター内部や関係機関と円滑なコミュニケーションが図れるよう貢献していきたいと考えています。