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理事長のご挨拶

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 日頃より、公益財団法人核物質管理センターの活動にご支援・ご協力を賜りましてありがとうございます。この度、核物質管理センターの理事長に就任いたしました 坪井 裕 です。1972年の設立以来52年間にわたり当センターの活動を支えてきてくださった多くの方々のご支援、ご努力に思いを馳せ、皆様のご期待に沿えるよう、努力して参る所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、当センターの業務は保障措置(safeguards)に大きく関係しておりますが、原子力に関して、safeguardsという用語が最初に公式に使用されたのは、1945年11月に、米国のトルーマン大統領、英国のアトリー首相、カナダのキング首相が共同で発表した「原子力に関する米英加3国首脳共同声明」のようで、ここでは、原子力の実利用のためには、全ての国が受け入れ可能なsafeguardsが必要である等の趣旨が述べられていました。さらに、1946年1月24日に、賛成 47、反対 0、棄権 0で採択された、原子力委員会の設置に関する国際連合総会第1号決議の中に、原子力委員会の役割のひとつとして、「遵守国(complying States)を違反や言い逃れのハザードから守るための査察やその他の手段による効果的なsafeguardsに関して提言をとりまとめること」という形でsafeguardsヘの言及がありました。ただ、実態としては、約70年前の1953年12月8日、米国のアイゼンハワー大統領が国連総会において「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」と題する演説を行い、これを契機として、原子力の平和利用が進むこととなり、その後、その平和利用を確保するために、国際原子力機関(IAEA)が発足して国際保障措置の制度ができ、さらに、核兵器の不拡散に関する条約(NPT)に基づく包括的保障措置に発展し、さらに追加議定書の措置や、それを前提とした統合保障措置へと展開してきております。また、核物質防護から開始された措置が、核セキュリティに発展して今日に至っております。

 一方、最近、地球規模の気候変動対策としてのカーボンニュートラルという目標達成のためには、原子力の果たすべき役割が大きいことが再確認されてきています。
  このような状況の中で、我が国における原子力平和利用の推進のためには、しっかりとした核物質管理が大前提であり、当センターが担う役割はこれまでと変わらず、重要であり続けると考えております。

 さて、当センターは、1972年4月に内閣総理大臣及び通商産業大臣の認可を得て財団法人として設立され、2012年4月1日には公益財団法人となりました。設立以来、核物質の計量管理、核物質防護等の核物質管理に関する調査研究、技術開発及びそれらの成果の普及、並びに核物質管理に関する情報処理業務、保障措置検査等実施業務及びその他の事業を通じて、原子力の平和利用と原子力産業の健全な発展に貢献するとともに、保障措置に関する技術支援機関(TSO)として、その役割を果たしてきております。

 また、当センターは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、1977年に指定情報処理機関、1999年に指定保障措置検査等実施機関として国に指定され、計量管理情報の整理、保障措置検査・分析業務等の実施を通じて、わが国の保障措置体制の中で重要な役割を果たしております。業務は、東京本部、茨城県の東海保障措置センター、青森県の六ヶ所保障措置センターの3か所において約180名の役職員により行われております。

 今後とも、当センターに与えられた使命をしっかりと認識して業務の遂行に当たりたいと思いますので、当センターの活動に対し、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
                                          2024年6月
                      
                    公益財団法人核物質管理センター
                                           理事長
                                           博士(エネルギー科学) 坪井 裕